台湾に行きたい。

コロナウイルス、もしくは、それへの人的な理由によって、ぼくたちは、海外渡航が著しく制限されることになった。ニューノーマルと呼ぶのかわからないが、昨年あたりからいよいよ、海外渡航が一部の国で解除され始めたところである。

そのような中で、ぼくの海外渡航の目処は未だ立っていない。常に行きたいと思い続けているのだが。以前ここで、「メタのメンバーは台湾に縁がある」と書いた通り、コロナ以前はことあるごとにメタのメンバーは台湾に渡航していた。

最近になって、メンバーの一人が、台湾に渡航し始めた。しかも、月一度以上のペースでだ。数年前、ぼくは、当時台湾に駐在していた彼に会いにいき、共に食事をした。それから数年が経ち、彼は日本に帰ってきて、今また諸事情をきっかけに台湾に向かっている。これを、台湾に帰っているといえるし、本人の言葉を借りれば「日台の二重生活」が始まったともいえるのだろう。

これから始まるのは、この「二重生活」の話である。日本で生活をしながら、一定の期間、台湾でも生活をする。「二重生活」といった時、その重なり合う境界は非常に曖昧である。航空券をとって、飛行機に乗り、空港のイミグレを通過する。そういう意味での境界は確かにある。だが、生活の面からみれば、この「二重生活」にはグラデーションの間がある。日本にいようが台湾にいようが、人や仕事など彼と彼をめぐる関係性は動いている。それらは並行して、時に境界などないかのように、行き来をする。

今後、この「二重生活」を追ってみたいと思う。いや、巻き込まれてみたいといった方がいいだろうか。いやいや、もう数年前から巻き込まれていたのかもしれないのだった。この生活は、何ヶ月か、もしくは何年になるかわからない。そもそも、「二重生活」といいながらも、一般的な意味で二重生活ではないのかもしれない。

彼が、日本から台湾に行き、台湾から日本に行く。その記憶を呼び起こすものとして、彼とぼくの二人で話をする。そこでは、二重生活の内容が語られる。このLOGUEでは、二重生活の内容と、その語られた内容、そして、その語られた事実が書かれていくことを想像している。

具体的には、彼は主に台湾のことを書く。それは現在のこともあろうし、現在活動することで呼び起こされた過去の記憶、エピソードであるだろう。他方、ぼくは、彼から聞いたこと、彼が書いたものから、想起し、考えたことについて書く。それは台湾のことをきっかけにするけれども、必ずしも台湾の具体的な出来事に関してとは限らない。

これは、彼とぼくが、日本ー台湾、現在ー過去、具体ー抽象を行ったり来たりしながら、間としての日台「二重生活」というものを浮かび上がらせる作業である。浮かび上がらせたところで、何が起こるのかはよくわからないけれど、始めてみたいと思う。

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日台生活 #02 匯款 -huìkuǎn-