field note 刊行に寄せて
『field note』
これは、わたしたちM^が活動したことを記録しておくためのアーカイヴ。
M^(メタ)のウェブサイト『LOGUE』に掲載したイラスト、文章、写真を再編集し、書籍の形としたものです。端的に言えばこれ以上のことはないのですが、そもそも、なぜそのようなことをやろうとしているのでしょうか。そう問われると、もはや、やりたかったから、としか言いようがないのですが、作りながら考えてみることにしました。
M^には、様々な人が行き交っています。元々は会計士とコンサルタントが立ち上げたものですが、今はグラフィックデザイナー、DJ、イラストレーター、写真家、ITエンジニア、アニメーション作家、人類学や哲学の研究者、パタンナー、組織や人材のコンサルタント、グラフィックレコーダー、音楽家、弁護士……専門領域を並べてみても、多岐に渡ります。それどころか、それぞれが専門領域を飛び出して、より多彩な活動を行っています。
そのような人たちが集まる場では何が起こっているのでしょうか。それを伝えたり、記録したりするにはどうしたら良いのでしょうか。そして、皆さんを巻き込み、または皆さんに巻き込まれ、新たな場が立ち上がってくるには、どうしたら良いのでしょうか。
これらの問いには未だ十分に応えられてはいないものの、一つの試みとして、『LOGUE』と『field note』があるのだと考えています。
M^に関わっている皆が、彼ら彼女ら自身によって、語り、記述すること。良かった出来事、奇想天外な出来事、もう二度と起こらないでほしいような出来事…さまざまな出来事の語りや記述を記録し、保管しようとすること。一方で、記録保管することには限界があり、出来事を部分的にしか記録保管出来ないということ、アーカイヴだけで出来事を追体験することはできないということ。わたしたちは、このようなことを、『LOGUE』と『field note』を通じて感じることができました。
それでもなぜ、アーカイヴしたいと思うのでしょうか。わざわざ本の形にしたいとまで思うのでしょうか。おそらく、わたしたちが何よりも大切にしたいことは、制作過程において語られる新たな言葉、予想だにしない表現、そこにあるエネルギーやゆらぎなのでしょう。
フィールドで起こったことを、ノートに記録する。記録されたものを保管し、その後に読む。すると、それぞれの時空間が立ち上がり、作り手も読み手も放り込まれていく。ノートであるとともに、フィールドでもある。
そのようなアーカイヴになればと思い、『field note』を刊行いたします。
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field note 001は『お金の哲学』。
お金について、M^で語っていることを文章に記してみました。
LOGUEで公開した文章に大幅な改訂・追補を入れ(字数は1.5倍に)、field noteとして生まれ変わりました。
”会計士 には、お金の呪いがかけられている。(…)他方、会計士は、お金の呪いが使える、ともいえるのかもしれない。”
”お金というのは大変に難しい。そして、お金について考えることは、あまり良くないイメージがまとわりついている。ある種のイメージが歪みを生んでいる。皆、お金を羨望しながら、恐れてもいる。そういう場面に私たち会計士は仕事柄、直面することが多いように思う。でも、お金だって世界の事物の一つにすぎない。だったら、羨望しすぎず、恐れすぎず、ただ他の事物と同等に軽やかに考えることはできないか(…)”
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title:field note 001 お金の哲学
date:2021.11.30
size:181mmx103mm
page: 36